障害者自立支援法に“障がい者の子育て支援”を組み込んで下さい!!



ただ今、署名活動を停止し、2009.07.10 厚生労働省より各都道府県宛に通知された【「障害者自立支援法上の居宅介護(家事援助)等の業務に含まれる「育児支援」について」の事務連絡】の周知徹底に努めています。今まで署名活動にご協力頂いた全ての方々に心より感謝致します。


はじめに



 このホームページは、子育てに関わる人たちの環境を、格差のないものにしようと立ち上げました。


 障害者自立支援法では障がいを持った本人に対しての支援はありますが、その子どもに対する『子育て支援』がありません。障がい者の子どもは、「赤ん坊」でさえも対象外とされてしまうのが現状です。現在、多くの障がい者が『子育て支援』を必要としてます。これから子どもを産み育てようと考えている(また、幼い子どもを抱えながら、病や事故で障がいを持ってしまった)多くの障がい者は不安を感じています。なかには出産を諦めてしまう障がい者も少なくありません。


 日本全国、格差のない安心して子育てできる社会を実現させるために、この現状を変える事が目的です。障がい者が健常者と同じ条件で生活できることをめざす「ノーマライゼーション」の理念を実現するためにも、障害者自立支援法に『障がい者の子育て支援』を組み込んでもらう必要があります。そのためには、障害者自立支援法の対象者を「障害者及び障害児」から「障害者とその子ども及び障害児」と幅を広げていただく事が必要なのです。


 賛同して頂ける多くの方の声を聞かせて下さい。ひとりでも多くの方のご支援、ご協力をお願いしたいと思います。




2008年5月 らぶ・はんど 障がい者子育て支援の会


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 障がいを持って一番大変だったこと、それは子育てでした。


 平成3年、息子を出産後、両足の運びが思うようにいかなくなった私は、主人が仕事に出かけている昼間、たったひとりで部屋の中を這いながら赤ん坊の世話をしていました。母親の体調の不調を気遣うことなく、赤ん坊は元気に大声で泣くことにより自分の欲求を表現します。ミルクが欲しいと泣き、おむつが汚れれば泣き、機嫌が悪いと泣きます。


 這って移動するので、ズボンの膝の部分は擦れて破け、膝小僧の皮膚は赤く腫れ上がり象の皮のように厚くガサガサになりました。両手をついて這っているうちに左手の手首に痛みが走るようになり、ついには左肩から指にかけて感覚が鈍くなってしまいました。


「私の身体はどうなってしまうのだろう?」 そんな時でさえ悩んで落ち込んで臥せている余裕もありませんでした。徐々に徐々に、紙おむつを交換する時のテープを剥がす力さえも手の指からなくなり、最後は口でテープを剥がしていました。


「こんな母さんでごめんね。抱いてあげる事もお風呂に入れてあげる事も、 散歩に連れて行ってあげる事もできない母さんを許してね!」 紅葉のような小さな手を差し出し抱っこをねだる息子に、私は心の中で何度も何度も繰り返し叫んでいたのです。


 友人のSさんは、交通事故による両下肢障がいのため車いすとクラッチ(松葉杖のようなもの)併用の生活を送っています。 そんな彼女が今、小学3年生と5才になる女の子を2人育てているのです。 昼間、ご主人は仕事で留守のために、彼女ひとりで2人の子育てをしています。 毎日毎日が戦争で、必死に生活していると嘆く彼女!!


 障がいを持っての子育ての大変さは身を持って痛感しています。 Sさんの大変さは痛いほど良く分かります。


 この現状をなんとか変えたい!! そう心に深く思った事が、この活動の発端となりました。


代表 中村照美

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 障害者自立支援法は、障がいのある人々の自立を支えるために制定されました。 総合的な自立支援システムの全体像は、自立支援給付と地域生活支援事業で構成されています。 自立支援給付の中には、居宅介護(ホームヘルプサービス)による生活全般の支援もあります。


 真の自立と社会参加を目指し、子育てに奮闘する障がい者の「親」としての視点で捉えると、この法律には大きな盲点があるのです。


 法律を利用して※ヘルパーさんに居宅介護を依頼する場合、子育てをしている障がい者(利用者)はヘルプしてもらえますが、「子どもについては赤ん坊でさえも何のヘルプもしてもらえない」のです。※ヘルパーさんにお願いしても、範囲外の依頼についてはとても消極的というのが現状です。 あくまでも自立支援法による居宅介護は障がい者(利用者)である親のヘルプという事で、子ども部屋の掃除や子ども服の洗濯、子どもの布団干しなどは規定外という事になります。

 親の部屋の掃除をして、洗濯をして布団を干してもらえるのに、子どもの事は原則としてしてもらえません。ヘルパーさんが悪いのではありません。法律がそうなっているのです。しかし、こんな時、果たしてその親子は救われていると感じる事ができるのでしょうか?


 現行法で保護されているのは「障がいを持った子ども」で「障がい者の子ども」に対してまったくといってよいほど配慮をしていません。

実際問題として通園や通院が不可能だったり困難であるケースは、「健常な親 + 障がい児」より「障がい者(親)+ 健常である幼児」の方なのです。(障がいを持ったお子さんを比較にだしてすみません。けして悪意があるわけではなく、どちらのケースも現行法で保護して欲しいという意味です)


子どもを病院に連れて行くことができない!

子どもを散歩に連れて行くことができない!

子どもをお風呂に入れられない!

子どもを保育園へ送迎することができない!

国に支援してもらえない!

 このような時、どうやってこれらを行えばいいのでしょうか?


 子どもは国の資源です。未来を担い、やがてはこの国を動かす原動力の一員となるのです。国民なくして国は成り立ちません。少子化が懸念されている今現在、子どもを産み育てたくてもできない人たちや、大変な人たちがいるという事を考慮し、国は政策に取り組むべきだと思います。


 一日も早く、障がい者も安心して子育て出来る日本になる事を切に望みます。


*ここでいうヘルパーさんとはあくまでも制度としての意で、個人としてのヘルパーさんを指弾するものではありません。


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 障害者自立支援法の対象者が「障害者及び障害児」となっているために、「障害者自立支援法の盲点」で記したように、障がい者の子どもは、何もできない「赤ん坊」でさえも対象外とされてしまうのが現状です。


 自立支援法のベースには、「ノーマライゼーション」の理念があります。障がい者の福祉に関しては、これまでの生活支援という面だけではなく、自立と社会参加を促進するため、この理念の実現に向けて積極的に取り組むことが求められてきました。

障害者自立支援法は、障がい者の自立と社会参加を促進するための法律なのです。

子どもを産み、育て、社会に送り出す事は、立派な自立であり社会参加ではないのでしょうか!!


 必死の思いで社会参加をしている障がい者を切り捨てる事が、自立支援法の本意ではなく、法案を練る段階で、障がい者が子育てをするという認識がなかったのかもしれません。


 以上のような「ノーマライゼーション」の理念の下、障害者自立支援法に「障がい者の子育て支援枠」を組み込んで頂くために、障害者自立支援法の対象者を「障害者及び障害児」から「障害者とその子ども及び障害児」と幅を広げて頂けるように要望するものです。


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「子育て支援の中に、障がい者への配慮を入れてもらう」のはどうか?、という意見もありますが、やはり障害者自立支援法に「障がい者の子ども枠」も組み入れて欲しいと切望します。

 それは、「健常な親が子どもを育てる」場合と、「障がいをもつ親が子どもを育てる」場合とでは、必要なサービスの内容や基準が異なるからです。


なぜ自立支援法に「障がい者の子ども枠」が必要なのか

 自立支援法の中に「障がい者の子ども枠」を組み入れれば、居宅介護(ホームヘルプサービス)の範囲は、親がサービスを受けている事業所で対応できます。親の障がいの程度に合わせ、洗濯物や部屋の掃除や布団干しなどを、「子どもの分も含めて」一緒にサービスが受けられるようになるのです。

「わざわざ」ではなく「ついで」の感覚で事足ります。今までと同じサービス時間内か、ほんの30分延長程度で済むのです。


「子育て支援」の中に「障がい者枠」を新たに設けた場合のデメリット

「子育て支援」の中に「障がい者枠」を設けると、自立支援法でサービスを受けている障がい者である「親」とその「子ども」は窓口が別々になり、サービス形態も必然的に別々のものになってしまいます。このシステムでは、いろいろな意味でムダが出ると思います。

 まず問題になるのは、登録の手続きなどが二重に必要になることです。

 ヘルパーさんの作業も非効率的になります。たとえば、洗濯ひとつをとっても、親の衣類と子どもの衣類を別々のヘルパーさんが洗うことになります。まとめて1回でできる作業を、わざわざ2回に分けることになるのです。

 作業効率が下がれば、当然余計な経費もかかります。ただでさえヘルパーさんの人手不足が問題になっている昨今ですから、できるだけ効率的なシステムを考えるべきではないでしょうか。

 そもそも、親の身のまわりのことと子どもの身のまわりのことを線引きするのは難しいはずです。「これは親側?」「これは子ども側?」と悩むよりも、まとめて済ませてしまうほうが効率的だと思います。


もっとも必要な人が支援を受けられない現状

 子育てを支援してくれる機関はたくさんあります。しかしそこまでの送迎が困難なのです。理想は法で整えなくても、お互いが助け合えればいいと思いますが、残念ながら現実はそういうわけにはいきません。

 小学生低学年の放課後の生活を支える学童保育も、最近はお迎えが必要なところも多く、お迎えに行けない障がい者は預ける事さえできないのが現状です。もっとも必要としている人は、結局利用できないのです。

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